政治的陰謀?都市伝説?石油の埋蔵量が毎年変わらない不思議

政治的陰謀?都市伝説?石油の埋蔵量が毎年変わらない不思議

更新日 2018/11/20

筆者が小学生だった1990年代に、TVのニュースで「石油の埋蔵量はあと40年しかない」というようなニュースを何度か見た記憶があります。

司会者や評論家的な人たちが議論するのを見て、当時は子供ながらに、あと40年したら車にも乗れなくなるし、冬の寒い日でも石油ストーブが使えなくなってヤバいんじゃね?と思っていました。

しかし、それから20年以上経った今、先日ふと見たTVで残り20年ほどしかないはずの石油の埋蔵量が、またもやあと40年しかないというニュースを見かけました。

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石油の埋蔵量はずっと40年?

「石油の埋蔵量は40年しかない」と、皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれません。一説によれば1920年頃からあと40年という報道があったと言います。

出典:石油連盟 (PDF)

上の表は、石油連盟の資料から抜粋した石油埋蔵量の変遷をあらわしたグラフです。表中のオレンジのプロットが、あと何年採掘可能かという数値、いわゆる埋蔵量です。1975年~2016年までに徐々に増えていますが、平均するとだいたい40年という風に見えます。

これは筆者が感じている「石油の埋蔵量がずっとかわらない」というイメージに合致します。なんなら、グラフでは毎年増え続けています。

確かに、石油の埋蔵量が40年分しかないというのは、紛れもない事実です。しかし、なぜ何十年も前から毎年40年という数字が登場するのでしょうか?それを知るには、この「埋蔵量」という言葉の意味を理解する必要がありそうです。

埋蔵量 ≒ 地球に存在する量

埋蔵量は正確には可採埋蔵量または経済可採埋蔵量と言いますが、その定義はWikipediaによると以下のように説明されています。

可採埋蔵量(かさいまいぞうりょう)または経済可採埋蔵量(けいざいかさいまいぞうりょう)は、地下に存在する石油や天然ガスなどといった地下資源の埋蔵量のうち、「現在の市価で」技術的・経済的に掘り出すことができる埋蔵総量から、既生産分を引いた量のこと。

引用:Wikipedia

また、SPE, AAPG, WPC, SPEEなどの業界団体が合同で策定した埋蔵量評価基準であるPRMS (Petroleum Resources Management System)からその基準を抜粋すると

Petroleum Reserves and Resources Definitions | Society of Petroleum Engineers

RESERVES are those quantities of petroleum anticipated to be commercially recoverable by application of development projects to known accumulations from a given date forward under defined conditions. Reserves must further satisfy four criteria: they must be discovered, recoverable, commercial, and remaining (as of the evaluation date) based on the development project(s) applied. Reserves are further categorized in accordance with the level of certainty associated with the estimates and may be sub-classified based on project maturity and/or characterized by development and production status.

引用:PRMS

若干専門的でわかりにくいですが、簡単に日本語に訳してまとめると、以下のような内容です。

以下の4つの基準をみたしたものが埋蔵量と定義される。

(予測時点において)
発見されていること
技術的に採掘可能であること
経済的に採掘可能であること
・残存していること

つまり、埋蔵量とは実際に地球上に存在する量ではなくて、ある時点において計算された人間が現実的に使用できる量のことを表しています。したがって、計算時点でまだ発見されていない量や、技術的・経済的に発掘できない分は埋蔵量として計上されません。

時代を経るにつれて、新しい集積所が発見されたり、技術の進歩などによりこれまで不可能だった分の採掘が可能になることで、埋蔵量は毎年変動します。特に2000年代に入ってからアメリカで採掘技術のイノベーションがあり、石油などの化石燃料が一気に大量生産されるようになりました。

これが、「石油の埋蔵量がいつまで経っても40年で変わらないカラクリ」になります。

一般の人が埋蔵量という言葉を聞いてもつイメージとは、若干ずれた子供だましのような意味ですね。

実際に石油はいつ枯渇するのか

では、石油は実際にあとどのくらい石油が使用できるのでしょうか?残念ながら、これは今のところよく分かっていません。中東などの資源の豊富な国では、政治的理由で公表していない油田などの情報も多く、また今後も化石燃料の需要が続く限り、採掘に関する新技術も開発が進むはずです。

そのため、「実際に」石油が枯渇するときを予測することは極めて困難です。

そう考えると、毎年変化する子供だましのような「埋蔵量」は、一種の目安としてはよい指標なのかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?石油の埋蔵量について筆者と同じような疑問を持つ人も少しはスッキリできたのではないでしょうか?

さいごにポイントをまとめておきます。

・石油の埋蔵量は19世紀から現代までおよそ40年と変わっていない。

・その理由は、埋蔵量の定義が予測時点で技術的・経済的に採掘可能な量を表しているためである。

・実際に地球上に存在している石油の量は予測困難である。

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