ガラパゴスカー?日本で大人気のミニバンはなぜ海外でウケないのか

ガラパゴスカー?日本で大人気のミニバンはなぜ海外でウケないのか

更新日 2018/11/15

乗り降りしやすいスライドドア、3列シート、荷物もたくさん積めて、日本でミニバンって大人気ですよね。休日に高速道路のSA・PAに立ち寄ると見渡す限りミニバン、ミニバン、ミニバンなんて光景も珍しくありません。

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https://twitter.com/siratamama63/status/1062851895646011392

数字で見る日本のミニバン人気

出典:価格.com

日本でどれだけミニバン人気が高いか、2018年上半期の新車販売台数(軽自動車を除く)をみてみましょう。

順位 車名 ボディタイプ メーカー 販売台数
1 ノート コンパクトハッチ 日産 73,380
2 アクア コンパクトハッチ トヨタ 66,144
3 プリウス ハッチバック トヨタ 64,019
4 セレナ ミニバン 日産 56,095
5 フィット コンパクトハッチ ホンダ 47,962
6 ヴォクシー ミニバン トヨタ 47,702
7 シエンタ ミニバン トヨタ 45,417
8 ルーミー ミニバン トヨタ 44,923
9 フリード ミニバン ホンダ 43,984
10 ヴィッツ コンパクトハッチ トヨタ 42,529
11 C-HR SUV トヨタ 40,998
12 カローラ セダン
ハッチバック
トヨタ 39,607
13 タンク ミニバン トヨタ 38,001
14 ヴェゼル SUV ホンダ 32,737
15 ステップワゴン ミニバン ホンダ 31,436
16 インプレッサ ハッチバック
セダン
スバル 30,554
17 ノア ミニバン トヨタ 29,722
18 エクストレイル SUV 日産 29,518
19 アルファード ミニバン トヨタ 27,407
20 デミオ コンパクトハッチ マツダ 26,975
21 パッソ コンパクトハッチ トヨタ 24,810
22 ハリアー SUV トヨタ 23,870
23 ソリオ ミニバン スズキ 23,271
24 ヴェルファイア ミニバン トヨタ 22,685
25 エスクァイア ミニバン トヨタ 20,991

参考:自販連

このランキングを見て分かるように、4位の日産セレナを初めTOP 25のなかで実に12車種もミニバンがランクインしています。

この販売台数には、企業が社員の移動車・営業車としてよく購入されるコンパクトカー等も含まれています。そんな中で車両価格も決して安くないミニバンがこれだけランクインしているので、人気の高さがよくわかるのではないでしょうか?

海外でミニバンはダサい車?

このように、日本で大人気のミニバンですが、海外ではちょっと事情が違います。

アメリカの自動車販売台数ランキングで紹介した通り、自動車大国アメリカでは販売台数TOP 10どころかTOP 25にすらミニバンは一台もランクインできていません

(というか、日本で人気のセレナやヴォクシーなどのほとんどのミニバンはアメリカでは販売すらされていません。)

アメリカの大人気映画、ワイルドスピードスカイミッションでも、これまでスポーツカーを乗りこなし数々の困難を乗り越えてきた主人公ブライアンが、ミニバン(クライスラーグランドボイジャー)で息子ジャックを送迎するちょっとイケてないお父さんになってしまった様子を皮肉っぽく描いています。

また私の知り合いにヨーロッパから来て日本に住んでいる車好きの人がいるので、日本のミニバンについてどう思うか聞いたところ、

Very “Good Japanese” car. But I don’t buy it.
(とてもいい“日本っぽい良い”車だね。だけど僕は買わない。)

と言っていました。この“Good Japanese”はいかにも皮肉交じりの言い方で、やっぱりミニバンはヨーロッパでもウケはよくないのだと思いました。

ミニバンが海外でイマイチな理由

海外でミニバンが不人気な主な理由は、「ミニバンのようなスライドドアで人や荷物もたくさんつめる車は仕事で使うための商用車である」というイメージが強いことが上げられます。

特に欧米では、ミニバンは大の男が乗るクルマではないという古くからの考えが残っており、広大な土地を持つアメリカではピックアップトラックや中~大型SUV、狭い道路が多いヨーロッパでは小型SUVやコンパクトカーに人気が集まっています。

このミニバンに対する日本と海外の見方の差について、日産自動車で新世代デザインを統括してきた、元CCO(チーフクリエイティブオフィサー)の中村史郎氏は次のように解説しています。

日本人にとってミニバンは、家庭の延長のような存在だ。家族と一緒に過ごす家庭の空間を屋外にそのまま持っていきたい。そうした願望が強い。長年に渡り、日産で自動車の在り方を研究し、そしてデザインしてきた立場として、こうした日本人のミニバン志向は世界でも極めた稀だと感じた」

苦戦する自動車メーカー

自動車メーカーはクルマの高額な開発・製造コストを下げるために日々努力を重ねています。中でも効果的なものが、海外でも販売するグローバルモデルとして展開し販売台数を稼ぐことで、部品や開発にかかるコストを削減する手法です。

しかし、ミニバンのように国内だけでしか売れないような車種では、この手法によるコストカットが難しい状況が続いています。

国内販売4位の日産セレナにおいては、2010年、2016年と2度のモデルチェンジの際も車の基本骨格となるプラットフォームは先代から流用し、開発費を削減するような努力を行っています。

また、トヨタ自動車においても販売店の系列による車種のダブり(アルファードとヴェルファイヤ、ノアとヴォクシー等)を廃止するような方向性を示すなど、各社苦戦しているようです。

自動車メーカーにおけるミニバンは、その人気とは裏腹に収益モデルとしては劣等性のような位置づけになっているのが現状です。

まとめ

日本市場では大人気のミニバンですが、海外ではその商用車的なダサいイメージのためあまり受け入れられないようです。ミニバンは、島国日本で独自の進化を遂げてきたガラパゴスカーと呼ぶにふさわしい存在なのです。

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